業種別DXの必要性

2022.06.13

業種別DXの取り組み

代表的な業種のDXへの取り組みを見てみましょう。

金融

金融業界のDXのベースとなるのは、スマートフォンを使ったサービスの提供です。

スマートフォンサービスに力を入れている「りそなホールディングス」では、新たな形で顧客と繋がるための戦略として「りそなグループアプリ」を2018年から提供しており、既にこのアプリが顧客との最大の接点となっています。更に、店舗の在り方も見直そうとしていて、2020年11月には、グループアプリをベースにしたタブレット端末を設置し、顧客自身で手続きを完結できる行員不在の新拠点をオープンしています。

スマートフォンを用いた金融サービスは銀行ブランドにとどまらず、異業種のサービスを既存の金融サービスと連携できる新たな金融プラットフォーム「Banking as a Service(BaaS)」があります。これは、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)というソフトウエアの仕組みを使って、異業種企業のアプリやWebサイトなどから銀行が提供する機能をサービスとして提供できるようにするものです。

損害保険であれば、車に取り付けたセンサーで普段の運転ぶりから運転手を格付けし、保険料が変動するテレマティクス保険が提供され始めています。

また、証券会社ではロボアドバイザーといわれるAIを用いた資産運用アドバイスを行うなど、人間にしかできないと考えられていたサービスを自動化することで、価格破壊の波を起こしつつあるのです。

フィンテック

フィンテックとは、ファイナンスとテクノロジーを組み合わせた造語で、デジタルを大胆に使う常識を覆した金融関連のサービスやビジネスモデルを指します。
DXの塊ともいえる革新的な技術を使うスタートアップ企業をフィンテック企業と呼びます。

代表的なものとしては、スマートフォンを使ったキャッシュレス決済や送金、ビットコインですが、仮想通貨といわれた暗号資産、クラウドファンディング、ロボアドバイザーなどもフィンテックのサービスです。

金融機関がDXに取り組む理由には、フィンテック企業との競合と共生による勝ち残りを意識しているからといえるでしょう。

ブロックチェーン

ビットコインの中核技術として登場したのが「ブロックチェーン」です。
ブロックチェーンとは、一般に、「取引履歴を暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術」とされています。データの破壊・改ざんが極めて困難なこと、障害によって停止する可能性が低いシステムが容易に実現可能等の特徴を持つことから、銀行業務・システムに大きな変革をもたらす可能性を秘めています。

製造

製造業は、長年厳しいグローバル競争にさらされており、競争を勝ち抜くための手段としてDXが注目されています。

製造の現場では、工場内での計測や収集したデータをAIで分析し、生産設備の異常を知る故障検知や故障の兆候を発見する予防保全などが代表的です。

取り組みを更に進めて実現しているのがデジタルツインです。
デジタルツインは、製品本体や工場設備の稼働状況、置かれている周辺環境に関するデータを収集し、コンピューター上で仮想的に再現します。それを使って様々なシュミレーションを可能にし、保守メンテナンス作業を効率化するものです。デジタルツインは産業のイノベーション推進力を秘めているので、製造業やエネルギー産業をはじめ、多くの分野で活用が期待されています。


ベテランの技能をデジタルで計測し、若手社員に技術継承させるDXの取り組みがあります。ヘッドマウントディスプレイと呼ばれるゴーグルのようなものをベテラン社員に付けてもらい、内蔵カメラで視線の動きを計測することで、何に注目すれば質の高い作業が可能になるかを知ることができます。若手社員がヘッドマウントディスプレイを装着したときには、ベテラン社員が若手社員の見ているものをモニターから確認し指示を出すことができるので、効率よく技能を高めることができます。

これらを可能にするのがAR(拡張現実)やVR(仮想現実)です。
AIを使って膨大な種類の原材料の組み合わせをシュミレーションし、新素材完成までの期間を数十分の一、数百分の一に短縮させるマテリアルズインフォマティクスがその代表です。

製造業のDXは、稼働状況の監視、故障の予知から操作の自動化まで応用範囲は様々で、新たな収入源となっているのです。

小売り

EC事業者を含めた過当競争と人手不足に悩んできた小売業界で、市場を勝ち抜くカギがDXです。
小売業界のベースはスマートフォンを中心としたEC(電子商取引)、ネット通販です。
スマートフォンを使った取引は場所を選ばないため、世界中が商圏になり得ます。
また、顧客とのやり取りが全て記録されるため、店舗ビジネスと比べてデータドリブンの取り組みが一気に拡大します。
小売りでは、データドリブンの取り組みが顧客体験(カスタマーエクスペリエンス:CX)を向上させ、購買拡大につながります。

D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)

ダイレクト・ツー・コンシューマーを日本語に訳すと「消費者に直接届く」で、D2Cはメーなどから直接消費者に届くビジネス形態のことを言います。
D2Cは独自のECサイトを主軸にビジネス展開し、販売によって得た顧客の購買データを商品開発に活かすだけでなく、SNSを活用して直接顧客と繋がってデータを収集します。

スマートフォンを使ったキャッシュレス決済、AIによる画像認識、ロボット技術などの普及により、無人店舗も増えています。オンラインサービスとの組み合わせによる顧客データの収集・分析、今までにない顧客体験の創出などが狙いです。

飲食店ではロボットが調理や配膳、ホテルや病院でも機械が受付するケースが増えています。
無人店舗の実現には多様な技術が必要で、まだまだ課題はありますが、人手不足の解消やネットとリアルの融合に向けた有効な手段であり、コロナ禍において非接触のニーズに対応できるものとしてさらに関心が高まっているのです。

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2022.06.10 コラム

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