電子サインとは何か?

2022.08.26

電子サインとは?電子署名との違いやメリット・デメリット

従来、契約書といえば郵送でやり取りして、署名や印鑑の押印をしたうえで再度返送するというのが当たり前でした。これをすべて電子端末上で完結できるようにしたのが電子契約です。

この電子契約には、「電子サイン」もしくは「電子署名」が必要になります。それぞれの違いはなんなのか、また電子サインのメリット・デメリットはなんなのか、解説していきます。

電子サインとは

電子サインとは、通常の契約書など書面における手書きでの署名の代わりに、電子文書やフォーム上で同意・承諾を示すサインのことです。

具体的には、タブレット画面に表示された契約書データの署名欄に、タッチペンなどで名前を記す場合などを指します。

電子サインと電子署名の違い

では、電子サインと電子署名はなにが違うのでしょうか。

まず電子サインは、契約書に対する合意や記録の受理を示すための「電子プロセス全般」を指す言葉です。

一方、電子署名はそれに対する法的な証明を示すための「具体的な手段」を指します。よって、電子署名は電子サインの1つの方法といえます。

違いを比較表で見る


電子契約の真正性を示す方法に、電子サインを用いるものと電子署名を用いるものとがあります。この違いについて、比較すると次のようになります。

電子サイン型 電子署名型
電子証明書 不要 必要
契約相手の負担 少ない 大きい
本人確認 あり(メール認証での確認) あり(認証局が確認、印鑑証明や電話など)
完全性の担保 〇(タイムスタンプを利用) 〇(タイムスタンプの利用)
法的な効力

電子サインのメリット

では、電子サインで契約をおこなうとどのようなメリットがあるのか、ご紹介します。

経費の削減


電子サインを利用して契約すると、紙での直接的なやり取りがなくなるため、次のような経費の削減につながります。

【契約書作成の経費】


契約書を紙に印刷する必要がないため、用紙・印刷代が掛かりません。また、製本の必要もないため製本テープ代も不要です。

【郵送する際の必要経費】


紙の契約書を郵送していた場合の郵送代金や返送封筒などが不要になります。また、契約内容次第で必要だった印紙も電子契約では不要です。

【契約書作成や送付に係る人件費】


契約書の印刷や製本、封入して郵送するなどの作業がすべて不要になるため、人件費の削減にもつながります。

【契約書を保管する経費】


紙の契約書は長期にわたって保管する必要があり、またセキュリティ上鍵付きキャビネットなどを用意する必要がありますが、すべて電子上で保管されるためこれらも必要ありません。

契約締結のスピード向上


紙で契約を取り交わす場合、契約書を作成して印刷、封入して郵送したうえで、契約相手が受け取り、内容を返送するまでにおよそ1週間程度は掛かります。

相手が受け取り損ねたり、目を通し損ねたりするとさらに時間が掛かり、また契約内容を変更する場合には再び契約書の作り直しから始まってしまいます。

しかし、電子サインで契約をおこなえばすべて電子端末上でおこなわれるため、手続きもスピーディーで、また進捗もすぐ確認できるため、契約締結の効率が大幅にアップします。

書類の保管スペースが不要になる


前述のように、紙の契約書は鍵付きキャビネットや倉庫で長期間保管するのが一般的です。しかし、電子契約での契約書はネット上に保管されるため、保管スペースや設備を用意する必要がありません。


コンプライアンス強化


契約書を現物で保管しなくなれば、原本を紛失や破損、もしくは盗難されたり、内容を改ざんされたりするリスクがなくなります。

また、電子契約の電子署名とタイムスタンプは複製が困難であり、万が一改ざんされてもすぐ確認できるため、結果的にコンプライアンスの強化につながります。


電子サインのデメリット

つづいて、電子サインでの契約にはどのようなデメリットがあるのかもご紹介します。

電子契約を認められていない契約書がある


法律上、電子契約はさまざまな契約書で法的な効力を認められていますが、まだ認められていないものもあります。たとえば、以下のような契約書です。

  • 定期借地契約
  • 定期建物賃貸借契約
  • 投資信託契約の約款
  • 特定商品取引法で書面交付義務が定められているもの

業務フロー変更への対応


電子契約を導入すると契約の効率やスピードは向上しますが、社内の業務フローも大きく変わります。このため、社員によっては抵抗感が生じるかもしれません。

実際に電子契約のシステムを利用するのは社員たちであるため、導入の際には社内で説明、周知をおこない、双方が納得できるように議論を重ねるのが望ましいでしょう。

取引先の理解・対応が必要


電子契約をおこなう場合、契約を取り交わす双方がこのシステムを利用する必要があります。取引先が未導入の場合は、まず導入を依頼しなくてはなりません。

前述のとおり、新たな制度を導入するとなると業務フローも変わるため、この対応や社内への説明・周知なども必要です。状況によっては断られてしまう可能性があるでしょう。

まとめ

電子サインと電子署名の違い、また電子サインのメリットとデメリットについて解説しました。電子サインと電子署名の違いについて振り返ると、次のようになります。

電子サイン:契約書に対する合意や記録の受理を示すための電子プロセス全般
電子署名:電子サインにおける法的な証明を示すための具体的な手段

電子サインでの契約はメリットが多く、導入企業も年々増加しています。契約締結の効率をアップさせたい、契約書作成や保管の手間を減らしたい、という場合に検討されてみてはいかがでしょうか。

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